糖鎖が正常に働くことが健康には大切

糖鎖というのは、一般にはグルコースやフコースなどの単糖が複数繋がったもののことをいいます。

いま重要性が注目されているものに「ヘテロポリマー」があります。

これは8種類の単糖(グルコース・フコース・ガラクトースなど)の中から、複数種類の単糖が連なって構成されるもののことです。

ヘテロポリマーは我々の生命活動にとても重要な物質であることがわかっており、発生・分化・生殖などの様々な分野に深く関わっています。

例えば血管を輪切りにして撮影し、血管細胞を拡大して見ると、細胞の壁からびっしり生えているように見えるものがあります。

生命情報といえばDNAを思い浮かべますが、DNAは細胞の中の核に温存しているのに対し、これは「現場分子」とも呼ばれる形をとっており、重要物質です。

このびっしり生えたアンテナが「糖鎖」であり、DNAを解析していた我々は、次の希望を託して研究を始めています。

人間は約60兆個の細胞でできており、1つの細胞には数百から数十万の「糖鎖」があります。

これは糖同士だけでなく、脂質やたんぱく質、その他の分子とも結合して多様な分子を作りだしているのです。

糖脂質、糖たんぱく質が体内においてとても重要な生理機能を担っていることもわかっています。

これは細胞のアンテナであり、細胞たちはこのアンテナを使って情報交換をしているので、アンテナに異常が起これば、体にも不具合が生じてしまいます。

情報交換によってウィルスの侵入やバクテリアが出す毒素を感知したり、免疫細胞に情報を伝えたりするので、これが正常に働くことが健やかな日々を過ごすにはとても大切です。